「航空祭なら旅っくす」を目指す添乗員の航空祭リポート『三沢基地航空祭2024編』
はじめに 三沢基地航について
「西の岩国、東の三沢」、このフレーズを聞いて反応できる方は、間違いなく「航空ファン」の方と言ってもいいでしょう。
北は北海道の千歳基地から、南は沖縄の那覇基地まで航空自衛隊の飛行隊が配備されている航空基地は15か所。米軍が使用している航空基地は6か所。
そのうち航空祭で米軍機の飛行展示が見られるのが「山口県の岩国基地」と「青森県の三沢基地」だからです。
横田基地や厚木基地や嘉手納基地でも遠い過去には日米友好祭が開催時に飛行展示が実施されていましたが、騒音問題やら諸般の事情で今は地上展示のみの開催となっているので、なおさら「西の岩国、東の三沢」であり、更に三沢基地は航空自衛隊も配備されているので、軍事マニアや航空機ファンには、ある意味「憧れの基地」と言えます。
「訓練から無事帰る」で部隊マークに選ばれたカエルのマークが「可愛い」と人気の301飛行隊と、北海道に生息するオジロワシを部隊マークして鷲の羽が3、尻尾が0、両足が2と部隊番号をデザイン化し、自衛隊の規定が制定される前に選定された部隊マークとして唯一機体の日の丸よりもはるかに大きなマークを尾翼に描いていた302飛行隊と自衛隊ファンの間でも人気の高い両飛行隊ですが、航空自衛隊「最後のF-4EJファントムⅡ運用部隊」として人気を博した後、ファントムⅡの退役に伴って百里基地から三沢基地へ移動となり、第5世代機と呼ばれる最新鋭ステルス戦闘機F-35Aに装備改変されてより顕著となりました。
三沢基地航空祭へ行くと、航空自衛隊で現在唯一のステルス戦闘機F-35Aが配備されている基地として、301飛行隊や302飛行隊のF-35Aの機動飛行が見られるだけでなく、三沢基地を共同使用している米空軍のF-16Cの飛行も見られる貴重な体験ができる、そんな見所たっぷりで魅力的な「三沢基地航空祭」をリポートします。
三沢航空基地航空祭前日
東京駅から「はやぶさ」で八戸へ
9月7日(土)東京駅6:32発「はやぶさ1号」で出発、そして何も飛ばなかった航空祭の前日予行へ。
航空祭前日の土曜日の早朝に東京駅から東北新幹線「はやぶさ」で八戸駅へ9:22到着後、福島発のツアー参加の皆様と合流。
途中三沢空港へ寄って羽田発のツアー参加の皆様もお迎えしてから観光バスで訪れたのは、「青森県立三沢航空科学館」。
青森県立三沢航空科学館
ここで所蔵されている我が国航空機史上唯一の世界記録ホルーダー「航研機」の復元実物大模型や現在のところ唯一の国産旅客機YS-11の保存機を見学したりしながら前日予行のフライトを待ったが、結局何も飛ばずに夕方八戸市内や青森市内のホテルへ移動で終了となりました。
画像は、前日唯一飛行中の機体を撮影できた「軍用機」陸上自衛隊MV-22オスプレイで、木更津基地から三沢基地航空祭に地上展示で参加の為に飛来した機体(91702)です。
航研機(こうけんき)
1933年、東京帝国大学付属航空研究所が設計し、東京瓦斯電気工業(後の小松ゼノア、現バスクバーナーゼノア)が製図、製作した長距離飛行の世界記録獲得の為の試作飛行機。
この機体には名前はなく「航空研究所試作長距離機」の略称の「航研機(こうけんき)」が正式名称として使われている。
そして航研機が1938年5月13日から5月15日にかけて銚子→太田→平塚→木更津の周回コースで記録された周回航続距離11,651.011km、1万kmコース平均速度186.197kmの2つの世界記録を達成した。
この記録は我が国の航空史上今日まで唯一国際航空連盟(FAI)に公認されたものです。
三沢航空基地航空祭当日(航空祭当日の早くて長~い一日の事)
全国の航空祭へツアーに参加して行くメリットとして、
- 地元から現地までの往復の交通機関の手配の手間が不要
- 前日の宿泊先のホテルの手配が不要
- 初めての基地の航空祭でも、航空祭に詳しい社員やその社員から事前にレクチャーを受けた添乗員が同行して的確な情報が得られて安心
などがあげられますが、更に三沢基地航空祭に「旅っくすのツアー」に参加する最大のメリットがホテルから航空祭当日の早朝に三沢基地正面ゲート横までツアー専用の貸切バスで行けて、航空祭終了後もゲート横から三沢空港や八戸駅まで同じ貸切バスで戻れる事です。
航空祭へお出かけの時には、着替えなどの普通の旅行としての荷物の他に、基地内で「基地活」を楽しむためのカメラやビデオ等の撮影機材の他にそれらを持ち込むバッグや機材を置く為の小さな敷物などの「荷物をどれだけ少なくするか」で、出発前夜まで悩む方も多いと思います。
でも貸切バス利用の行程の基地航空祭のツアーだと、基地活に不要な荷物は、バスに置いたままでお出かけいただけるので大変便利なのです。
そんなわけで今年も八戸市内(十三町と本八戸のホテル2施設)と青森駅前のホテル3施設を利用したツアーバス3台が全てホテル5時半出発して三沢基地を目指したのです。
基地到着、開門まで列に並んでじっと待機
三沢基地への徒歩入場はメインゲートからとなりますが、前述の通り旅っくすのツアーではメインゲート横にあるスカイプラザMISAWA様の駐車場をお借りさせていただけますので、駐車場でバスを降りられたら僅か数十メートル歩くだけで開門前のメインゲート前の列に並んでその時を待つだけで済むのです。
今年も6:20過ぎには皆さん並んでいただき、30分繰り上がった7:30の開門時には入場できました。
基地へ入場してすぐにF-16のミニチュアが取り付けられたモニュメントが歓迎してくれますし、さらに進んだ先にある広場では三沢基地に配備されていて退役した米空軍F-16と航空自衛隊F-1の両戦闘機がゲートガードとして台座に取り付けられて鎮座しています。
いよいよ今年の三沢基地航空祭のスタート
地上展示いろいろ
まずは地上展示機のセンターを務めるのは、 航空自衛隊301と302両飛行隊のF-35Aの2機と米空軍第35戦闘航空団第14戦闘飛行隊のF-16Aブロック50の3機。
このうち航空自衛隊のF-35Aの2機は、今年創隊50周年を迎えた両飛行隊の記念塗装機で、両機の垂直尾翼に描かれた部隊マークのカエルとオジロワシがノーマルの小型のマークではなく垂直尾翼一面に描かれた大型のモノと言う嬉しい演出でした。
特に302飛行隊のオジロワシは50年前のF-4EJファントムⅡ導入に伴う開隊当初に航空自衛隊で初めて採用された部隊マークとして後の自衛隊の内規変更後も唯一の例外として使用され続けた伝統のオジロワシマーク時代に戻った様で個人的には感慨深い印象でした。
①オープニングフライト 301/302SQ F-35A
8:30にまずは航空祭のオープニングを告げる三沢基地所属の各飛行隊の所属によるパレードフライトから。
今年は航空自衛隊301と302の両飛行隊のF-35Aが各2機の合計4機編隊が 左エシュロンの隊形で航過。
今年は米海軍のP-8ポセイドンのパレード参加はなく追加、F-16C2機編隊と航空自衛隊のレア機ここ三沢と那覇にだけ配備されている飛行警戒監視群所属のE-2Dホークアイの3組のみでした。
②米空軍士官学校パラシュートデモチーム”Wings of Blue”による自由降下展示
先に離陸した米空軍のC-130Hから空軍士官たちが空挺降下。
コントロールが可能な四角いパラシュートでの自由降下を披露してくれました。各隊員が足に各部隊の旗を付けての降下は青空によく映えました。
③RQ-4グローバルホークの離陸公開
今年の三沢基地航空祭でマニア注目の一つが、2022年12月に航空自衛隊に導入されたばかりの無人偵察機“グローバルホーク”の離陸と着陸の公開でしょう。
昨年の三沢航空祭で初めて地上展示機として公開されてはいたけれど、今年はついに飛行中の姿を見ることができました。
④F-35の機動飛行
301SQのF-35Aによる機動飛行は、実は実戦配備後初の機動飛行展示でした。
その内容がすごく凄い内容で、「ラプター!ラプター!」と騒いでいた航空機マニア達をあざ笑うかの様に「ラプターよりこっちの方が新しいぜっ!」と言わんばかりの迫力満点の機動飛行を見せつけてくれました。
⑤CH-47の展示飛行
大型ヘリコプターCH-47による飛行展示は、昨年に続いて大規模火災への消火デモが実施されました。
ただし昨年との違いは、今年は昨年よりも大型の消火水を入れられるバケットを懸架しての飛行だったことです。
通常の離着陸では見ることのできない高機動や姿勢がみものでした。
⑥千歳からF-15Jと松島からF-2Bが来演
航空自衛隊の主力制空戦闘機F-15Jは千歳基地所属201SQの機体が、米空軍のF-16Cを魔改造して誕生した「平成のゼロ戦」マルチロールファイターF-2Bは松島基地所属21飛行隊の複座型のB型が三沢基地上空に来演して機動飛行を披露してくれました。
松島基地に来演した203SQの赤いちゃんちゃんこを着た可愛らしいい203SQ60周年記念塗装機を期待したマニアの方も多かったのではないかと思われますが、やってきたのは獰猛なヒグマの横顔がマークの201SQ所属機の方でした。
⑦PCAF F-16デモチーム
「MISAWAに来ないラプター」よりも「MISAWAに居るファイティングファルコン」。
「MISAWAに来る」と公式Xで発表しておきながらドタキャンのF-22ラプターよりも「MISAWAは俺達の基地だ!」と暴れてくれたのが、PCAF F-16デモチームの毎度おなじみイーサン”バンタム”スミス大尉(CAPT.Ethan”Bantam”Smith)が今年も迫力満点の機動飛行で大暴れしてくれました。
米空軍が三沢へのF-35A配備を発表しましたから、日本で米空軍のF-16を見られるのもあと数年と言う事で、これから数年は三沢から目が離せなくなりそうですね。
⑧302SQ F-35AとF-16C
午後はオジロワシと闘隼が暴れてくれました。 午後は“Wings of Blue”の2回目の自由降下展示と三沢に2隊いるF-35A飛行隊のもう一つ302SQオジロワシ2機の機動飛行と米空軍F-16Cと空自F-35Aの飛行展示で幕をおろしました。
その他の軍用機ネタ
今年の三沢で明らかに注目を受けていたのは、岐阜基地の飛行開発実験団(ADTW) 所属のC-1試作1号機(28-1001)通称“銀ちゃん”。
ご存じYS-11でおなじみの日本航空機製造が開発し、川崎重工が製造した戦後初の国産中型ジェット輸送機の1号機で、戦術輸送機と言う任務の特性上、量産機は実戦配備後に順次迷彩塗装に変更される中、唯一新造時の銀塗装で今も活躍している機体です。
今年度中の全機退役が発表されていますから、各地のファンに向けての「お別れ公開」として各地の航空祭へ参加していると思われます。
最後に
今年はブルーインパルスの来演がない航空祭として開催されましたが、直前の「ラプター騒動」からグローバルホークの初めての飛行公開やF-35Aの機動飛行展示など見所の多い「内容の濃い航空祭」となった印象です。
もっともブルーインパルス来演なしと言ううことで公式発表の来園者数は、40,000人とかなり少なめでしたが。(やっぱりブルーの人気恐るべし!)
番外編(基地内で見かけた珍しいモノやグルメ)
八戸俵屋・しんぶんカフェ
八戸市内に宿泊の添乗員が本八戸駅前に集合しての夕食となりましたが、ホテルからご紹介いただいた「八戸俵屋・しんぶんカフェ」へ行ってみることにしました。
このお店のお勧めはお寿司とご当地・八戸前沖でとれる脂のりのりのさば料理との事で、 まずはメニューとにらっめこしましたが、最終的には全国ご当地丼選手権で受賞した 「さばトロ漬け丼」と「八戸ばくだん」を両方のハーフサイズをセットにした「グランプリーセット」にしました。
画像の通り、このセットには自分で南部せんべいを割って入れるさば出汁せんべい汁と自家製さばソーセージも付く お得な内容でした。
航空機のぬいぐるみ
開門と同時に入場してエプロンサイドへやってくると、三沢基地と同じ青森県にある海上自衛隊八戸航空基地のPRコーナーが設けられていて、護衛艦や対潜哨戒機、対潜ヘリコプターなどの可愛らしいぬいぐるみが並べられていました。
航空機マニアの自分としてはやっぱり我が国が世界に誇れる救難飛行艇・新明和US-2の存在が一番気になりました。
Ice Candy ナカムラ君
今年もバス駐車場でお世話になったスカイプラザ・MISAWAさんの店頭で販売していた「超りんご味!」と商品名がインパクトある「Ice Candy ナカムラ君」。
しっかり青リンゴの味がしてなかなかの美味でした!
当日同行した3号車の添乗員と偶然同じ名前だったので印象的でもありました。
三沢基地航空祭2024 Data
実施日時
2024年9月8日(日)8:00~15:00
来場者数
約40,000人(主催者発表)
天候
晴 最高気温:26.9℃(15:00)最低気温:19.7℃ 最大風速:4m
三沢基地 航空祭2024で撮影した航空機の写真
所属基地 | 機体 |
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撮影日:2024/09/08 ※クリックで画像拡大します |
所属基地 | 機体 |
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撮影日:2024/09/08 ※クリックで画像拡大します |