「航空祭なら旅っくす」を目指す添乗員の航空祭リポート
~『エアフェスタ浜松2024』編 今年はエーワックスが飛びました!~
はじめに 浜松基地はすごく凄い基地なんです
浜松基地と言えば、私よりも年配の先輩方には、東宝が1964年東京オリンピック開催の年に製作封切られた航空自衛隊完全協力映画「今日もわれ大空にあり」をご存じの方も多いと思います。
自衛隊マニアやミリタリーマニア、それに映画マニアの方はきっとご存じだと思いますが、まだご存じではない方の為に少しだけ紹介します。
あらすじは、浜松基地を舞台に、主力戦闘機F-86Fセイバー(自衛隊愛称は「旭光」)から、最新鋭戦闘機F-104Jスターファイター(自衛隊愛称は「栄光」)への転換に伴う教官とパイロット訓練生の交流を通じて、新時代へと羽ばたいていく若手パがイロットとの物語で、浜松基地での訓練風景や当時の航空自衛隊の様子が記録された貴重な内容となっています。
中でも有名なエピソードは、浜松基地所属の「戦技研究班」(ブルーインパルス)がこの映画の空撮シーンなどで協力したことが縁で、お礼として初代ブルーインパルスの機体デザインを東宝美術部の沼田和幸氏が描いて正式採用されたお話です。
初代86セイバーから国産超音速練習機T-2、そして現用機T-4と使用機材は60年間で変わりましたが、ここ浜松が「ブルーインパルスの故郷」と言えると思いませんか。
又浜松基地には唯一「警戒航空団 飛行警戒管制群」が置かれ、隷下の第602飛行隊には世界で僅か4機のみの早期警戒管制機E-767(AWACS)が航空自衛隊で唯一配備されています。
すごく凄いE-767(AWACS)の話
では、E-767(AWACS)とはどんな飛行機なのかについてですが、まずAWACSは、「エーワックス」と読み、Airborne Warning And Control Systemの略で早期警戒管制機の意味で、大型のレーダーを搭載して空域を監視して敵性・友軍の航空機などの空中目標を探知・追跡して友軍機への航空管制や指揮・統制を行います。
機体の特徴は何と言っても旅客機ベースの胴体の上部背面に設置された大きな円盤状のレドームの存在で、全方位をカバーする為に約10秒で360°回転するロート・ドームと呼ばれています。
この機体の導入には、一つの事件が原因になっています。
それが「ベレンコ中尉亡命事件」で1976年9月6日、ソビエト防空軍のヴィクトル・ベレンコ中尉が当時東側の最新鋭戦闘機MiG-25で函館空港へ強行着陸しアメリカ合衆国への亡命を要求した事件で、この時要撃に上がった千歳基地所属のF-4EJファントムⅡ2機が超低高度進入して来たMiG-25をロストし、各レーダーサイトも追尾しきれなかった手痛い教訓から、各要撃機のルックダウン能力向上の近代化改修計画と同時に早期警戒機の導入を進めることとなりました。
『エアフェスタ浜松 2024』の前日のこと
「エアフェスタ浜松」へのツアーとしては土曜日の前日予行を見てから浜松駅前のホテルに1泊して日曜日の本番をお楽しみいただく2日間のコースと新幹線を利用しての日帰りコースの2コースをご用意していますが、今回は3年前の初企画以来ご好評いただいている日帰りコースの方、「【新横浜駅発】新幹線で行く『エアフェスタ浜松2024』日帰り」の添乗をしてまいりましたのでリポートします。
このツアーは「東京駅発」ではなく、「新横浜駅発」なのがミソで、首都圏から航空祭本番当日の朝最も早く浜松基地へ到着する手段を調べた結果、東京駅からの新幹線では航空祭本番開始前に浜松駅へ到着するのは難しく、新横浜駅からの6:00初発列車「ひかり533号」で静岡駅へ移動の後、貸切観光バスで東名高速道を西下して浜松基地へ乗入れるのが一番早い方法だと判明して早速造成販売したコースです。
それに合わせて前日土曜日の夜に副都心線から東急東横線、そして今年3月に開通した相鉄線を利用して新横浜駅へ移動、たくさんの赤白ジャージの集団とすれ違いながら、駅前のホテルへチェックインしました。
話は少しそれますが、日産スタジアムでこの日行われたJAPAN VS ALL BLACKSは地元開催なのにトリプルスコアの惨敗で、JAPANは確実に弱くなっている印象しか感じられません。今更「過去のHC、エディー・ジョーンズ」の復帰も無いと思うのですが。
『エアフェスタ浜松2024』の当日のこと
①ひかり533号で静岡駅を目指します
早朝5:00、まだ暗いうちからホテルをチェックアウトして新横浜駅の集合場所へ。
さすがに5:30集合は早く、新横浜駅へ到着する各路線の初発列車でも集合時間ギリギリの方も多く、最後に来られた方々と新幹線ホームへ上がったのは発車6分前の5:54となりました。
新幹線で約40分後に静岡駅に到着すると南口から貸切バスに乗り替えて一路東名を浜松基地へ向かいました。
②浜松基地の観光バス駐車場から会場へ
浜松基地では、エアフェスタが近づくと観光バス用駐車場の利用申請の申込受付が始まります。
この駐車場を確保できれば、滑走路を挟んだ反対側のエプロン地区へ徒歩移動で向かうことができますので、非常に重要な手続きとなります。
浜松西インターからの渋滞で若干遅れて浜松基地に到着しましたので、第一航空団の航空自衛隊70周年記念塗装機を含むT-4の6機編隊によるオープニングパレードをR/W09エンド近くの手荷物検査場を通過した地点で見ることとなりました。
③ 浜松救難隊による救難デモ
オープニングフライトに続いての飛行展示は、地元浜松救難隊のU-125A救難捜索機とUH-60J救難ヘリコプターによる救難捜索&救難デモでした。
まずはその高速性能をいかしたU-125Aが遭難現場空域に先行して要救助者を捜索し、発見後はUH-60Jを誘導します。
現場に到着したUH-60Jはまずはラペリングで隊員が降下、要救助者を確認後にホイストを用いて機内に収容するまでの一連の様子を見ることができます。
④ E-767 AWACSの飛行展示(今年はついに飛んでくれました!)
70周年記念塗装機の飛行展示が今年の『エアフェスタ浜松』で注目度が高くなることは事前に予測できましたが、スケジュール発表後には、むしろこちらの方が注目度は高くなっていたかもしれません。
機体の持つ特徴と任務の特殊性から存在自体が軍事機密の塊のような機体であるE-767の飛行展示は本当に貴重な機会と言えます。
その機体特性から派手な機動飛行は絶対に望めませんが、特徴的なレドームを背負って飛ぶ姿をしっかり記録したいと思いつつ、できれば旋回時のバンクの瞬間を捉えたいとカメラを構えました。
オープニングパレード開始前に離陸していたE-767(74-3503)が2回基地上空を航過、特に2回目は低空をローパスしその後に結構な角度でのバンクを披露してくれました。
あいにくの曇天で青空が背景にはならず、白い空にガルグレーの機体での記録となりましたが、個人的には今年の『エアフェスタ浜松』のメインイベントの無事終了となりました。
機体の方もそのまま着陸して会場とは反対側の南側のエプロンエリアへ去っていきました。
⑤ 岐阜基地からのリモートによるF-15JとF-2Aの機動飛行展示
すぐお隣の岐阜基地にある飛行開発実験団所属のF-15JとF-2Aが飛来して会場上空で迫力ある機動飛行を見せてくれました。
この週初めに岐阜基地で初めて公開されたF-15Jをテスターカラーにラッピングした飛行開発実験団の70周年記念塗装機の飛来に少しの期待をしていましたが、当日飛来したのはノーマル塗装のF-15J(32-8942)。
まあ「楽しみは3週間後の岐阜基地航空祭にとっておけ」と言う事ですね。
一方のF-2Aは赤白のテスターカラーの試作初号機(63-8501)が飛来して両翼端や胴体のストレーキーからベイパー出しながらの飛行を披露してくれましたが、曇天の白い空でも赤色が映えていました。
⑥ 午後の飛行展示は、ブルーインパルス
昼休憩を挟んで12:30~始まったのが大人気のブルーインパルスの展示飛行でした。
雲に覆われた空模様なのでこの日実施されたのは第3区分の演技でした。
フォーシップインバード(4機編隊全機の背面編隊飛行)やレベルでのキューピットは見ることができましたが、画像でご覧の様に雲に白いスモークなので目立っていないのが残念です。
⑦ 全てのプログラムが終了して、「進路反転、帰途に就く」
丁度ブルーインパルスの演技が終わったあたりから降り出した雨の中を徒歩で観光バス駐車場に戻ることとなりましたが、シャトルバス乗り場への列と貸切バス駐車場&タクシー乗り場への列が途中で交錯することから異常に列が長くなって流れが悪くなることで人の渋滞が発生していました。
公式発表で4万人との事でしたので、4万人程度のイベントでこの行列の発生は少し残念に思います。
浜松駅行きのシャトルバスも相当数の方々が行列で長時間並ばれていたようですので、この部分は是非次回以降に改善をしていただきたいものです。
静岡駅にて
① 静岡駅で「浜松グルメ」の夕食タイム
無事バスで東名を東上して静岡駅へ戻ってきましたのが17:00頃、静岡地区からご参加の皆様とはお別れをして新幹線で今朝出発した新横浜駅まで戻る行程なのですが時間があるので夕食を取ることに。
同行の添乗員と相談の結果、今日行った浜松の名物グルメ「浜松餃子」に決定。もやしの少なさに驚きながらも完食しました。
② 今年は東海道新幹線開業60周年の年なんですね
今年は1964年に世界初の高速鉄道として開業した東海道新幹線の開業60周年の記念すべき年なのですが、静岡駅にもモニュメントや記念の大団幕が貼り出されてお祝いされていました。
エアフェスタ浜松2024 Data
実施日時
2024年10月27日(日)9:00~15:00
来場者数
約45,000人
天候
曇/雨 最高気温:22.7℃(12:00)最低気温:18.6℃ 最大風速:3m
エアフェスタ浜松2024で撮影した航空機の写真
所属基地 | 機体 |
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撮影日:2024/10/27 ※クリックで画像拡大します |
所属基地 | 機体 |
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撮影日:2024/10/27 ※クリックで画像拡大します |
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撮影日:2024/10/27 ※クリックで画像拡大します |
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撮影日:2024/10/27 ※クリックで画像拡大します |
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撮影日:2024/10/27 ※クリックで画像拡大します |
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撮影日:2024/10/27 ※クリックで画像拡大します |
所属基地 | 機体 |
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撮影日:2024/10/27 ※クリックで画像拡大します |