「航空祭なら旅っくす」を目指す添乗員の航空祭リポート『岐阜基地航空祭2024編』~今年の主役はC-1の銀ちゃんとテスタカーラーになったF-15J初号機のWキャストで盛り上がりました!~
岐阜基地ってどんな基地?
岐阜基地の歴史について
航空自衛隊岐阜基地は、岐阜県各務原市に所在する長さ2,710mの滑走路を持つ航空基地で、その起源は旧帝国陸軍によって1917年に開設された各務ヶ原飛行場で、現存する飛行場の中では最古の飛行場です。
航空機マニアではない方ならジブリアニメ映画「風立つぬ」で堀越二郎はじめ三菱の技術陣たちが完成した試作機を一旦分解して牛にひかせて持ち込んで試験飛行を実施していた飛行場と言えばお判りいただけると思います。
現在の名古屋県営空港(小牧基地)がない時代に作られた三菱内燃機製作所らしいエピソードですが、ライバルの川崎重工は、欧米飛行機メーカーに倣ってこの各務ヶ原飛行場に隣接する土地を取得して航空機製造の為の岐阜工場を建設しました。
それが今も残る岐阜基地に隣接の川崎重工岐阜工場です。
飛行開発実験団(Air Development and Test Wing:ADTW)の存在
岐阜基地には、航空自衛隊唯一の航空自衛隊が導入した航空機及びミサイル等の装備品の試験・評価やテストパイロットの養成を任務とする組織『飛行開発実験団』が配属されいています。
そしてここに配備されている機体は、その任務の特殊性から実戦配備されている実用機とは違う「テスターカラー」と呼ばれる独特の(端的に言ってカラフルで派手な目立つ)塗装が施され、マニアや一部のファンには注目される存在なのです。
航空祭で迷ったら「岐阜基地航空祭」を選ぶべき理由
岐阜県だから行きやすく、アクセスも抜群!
岐阜基地は当然岐阜県にあり、東海道新幹線での最寄り駅は岐阜羽島駅です。
この駅なら首都圏や中京地区、関西圏からの移動も便利です。
又、航空祭当日のアクセス方法が、従来からの名鉄利用に加えて、昨年から観光バス+シャトルバスによる航空祭当日のアクセスが強化されました。
基地に隣接する「かかみがはら航空宇宙博物館」の駐車場を観光バス駐車場として利用して、そこか基地内へは岐阜バスの運行するシャトルバスを利用することでスムーズな移動ができる様になりました。
これは三沢基地航空祭の時にもリポートした通り、ツアー参加者の皆様に旅行としての宿泊用の荷物と航空祭会場へ持ち込み荷物との区分をしていただける非常に大きなメリットになります。
飛行開発実験団だから航空自衛隊の全機種が見られます
通常基地航空祭では、その基地に配備されている飛行隊の所属機がメインの飛行展示をみせてくれて、配備の無い機種(特に戦闘機など)は近隣の基地から来演して飛行展示を見せてくれます。
しかしここ岐阜基地には全機種を扱う飛行開発実験団がいますから、非常にバリエーションに富んだ飛行展示が見られます。
飛行開発実験団のテスターカラーの存在感は半端ないです!
現代の航空機による戦闘は対空戦闘、対地戦闘、対艦戦闘を問わず電波妨害装置 (ECM)などの発達で、最後は目視による敵機発見の重要性が再認識されています。ですから実戦部隊の配備機にはロービジ(Low visibility)と言われる低視認性塗装と言われる「地味な見た目の塗装」が制空迷彩、洋上迷彩、ステルス塗装のいずれにも採用されています。
と、こ、ろ、が飛行開発実験団には、その任務の都合上真逆の必要性から見た目にも「ド派手」なテスターカラーと言われる特別な塗装が施されている機体が多数見られるのです。
最近は赤+白の日本の国旗「日ノ丸」をイメージしたような塗装が多く、青空に映える素敵な画像や映像が記録できます。
岐阜基地航空祭の前日予行を見るために1日目は早朝の出発です
ひかりで西へ!
のぞみ号が主力の東京発の東海道新幹線では、1時間に岡山行きと新大阪行きの2本の「ひかり号」が運行されていますが、そのうち新大阪行きの方のひかり号が名古屋以西は終着の新大阪駅まで各駅に停車しますので、東京駅から乗り換えなしの約2時間で岐阜羽島駅へ到着できます。
そこで例年午前中に開催される土曜日の前日予行を見るために、東京駅7:33発のひかり633号で岐阜羽島駅へ。
岐阜羽島到着後、新大阪駅と京都駅からご出発のお客様と合流して地元愛岐観光バスの貸切バスで「かかみがはら航空宇宙博物館」を目指します。
当日は、曇り予報の曇り空でしたが博物館到着時には丁度F-15Jの機動飛行予行中で曇り空に爆音を響かせて暴れている勇姿を見る事ができました。
その後NOTAM通りに小牧基地所属のKC-767が飛来して飛実団のF-15Jとの空中給油デモの予行を実施して前日予行は終了したようです。
ツアーは引き続き博物館に16:00まで滞在して、博物館の見学を楽しんでいただき、宿泊先の岐阜羽島駅前のホテルへチェックインに向かいました。
この時点でもまだ、明日はよくて曇天、雨中の航空祭を覚悟していました。
岐阜基地航空祭の当日も早朝にホテルを出発です
まだ日の出前の6:00に岐阜羽島駅前のホテルを貸切バスで出発、一路かかみがはら航空宇宙博物館を目指します。航空祭当日は、かかみがはら航空宇宙博物館のバス駐車 場を借用(勿論博物館の入館料金は、ツアー参加者の人数分支払いました)して、博物館横から発着する岐阜バスが運行するシャトルバスを利用して基地内を移動します。
このシャトルバスが乗車1回毎に300円なのですが、500円の1日乗車券を購入すると何度でも乗り放題の上に、毎年毎年違うデザインの乗車券として記念にもなる優れものです。
信じる者は救われる⁉ ~岐阜基地航空祭当日の事~
早朝のバスでの移動中に朝日が昇り、どう見ても好天の空模様にテンションは上りはじめました。
今回のツアーでも事前の天気予報を理由に参加を取り消されたお客様も複数いらっしゃいましたが、「天候なんて行ってみないとわからない」のも事実で当日朝の基地司令の開幕の挨拶でも「晴れましたねえ」から始まりましたから航空祭は開催される以上、「まずは行ってみて、その中で最大楽しむ」が一番大事な気持ちだと再確認できました。
小編隊飛行と機動飛行
曇天なら北側のメイン会場での撮影も想定していましたが、好天になったらここは迷うことなく、終日順光の南側会場に拠点を確保して、じっくり狙いたくなりました。
まずは、飛行開発実験団(ADTW)のF-15JとF-2B(いずれの機体ともノーマル塗装機)による機動飛行が始まりました。
空中給油デモ
F-4EJ導入時には左翼野党の反対で装備から外された空中給油装置も今では航空自衛隊の全配備機にもれなく装備されています。
その空中給油の様子を実際に見られる航空祭は案外少ないのです。その貴重なデモがここ岐阜基地での航空祭で見る事が出来ます。
お隣の小牧基地から飛来したKC-767がフライングブームを展開した状態で直進し、後方下部から給油を受ける飛行開発実験団のF-15Jが接近フライングブームの長さ分だけの距離を維持して基地上空を航過するデモで、様々な大人の事情で実際にフライングブームを接続することは見られませんが、貴重な記録が残せるチャンスなので見逃したくないデモの一つです。
救難展示
小松救難隊の救難ヘリコプターUH-60Jが小松基地から飛来してリモートでの救難デモを披露して飛び去って行きました。
まるでこの後始まる本日の主役たちの出演時間を優先してくれるように。
中編隊飛行と各機の機動飛行(お待ちかね、本日の主役たちの登場です!)
いよいよ本日の主役と言える飛行開発実験団所属のC-1試作初号機や航空自衛隊70周年記念塗装を施されたF-15Jの初号機(02-8801)を含めたテスターカラーの各機の飛行展示がスタートしました。
その中でも会場の皆さんの一番人気は、今までいそうでいなかったテスターカラーをまとったF-15J。航空自衛隊創立70周年記念に飛行開発実験団がやってくれました!
各部隊に1機ずつ施される70周年記念塗装にF-15Jの1号機(02-8801)に赤白のテスターカラーを模したラッピングが実施されたのです。
近年は、航空自衛隊の内規が変更されたのか、以前のような機体全体に記念塗装が施されることも減ってきて、少し寂しい思いもしていましたが、小松の303SQや306SQの記念塗装同様にここ岐阜基地の飛行開発実験団は機体全体に「本物?」と勘違いしそうな見事なテスターカラーを再現してくれました。
その外観は、記念塗装がピーク?だった航空自衛隊創立50周年記念塗装機にも負けない仕上がりでした。
建前は、中編隊飛行の展示と言う事ですが、そこはそれやっぱり来場者の皆さんが注目のC-1輸送機の試作1号機“銀ちゃん”とF-15J記念塗装機の両機は、編隊飛行後に編隊から離れて「元気に」別行動へごく自然に、そして当たり前のように、移行していきました!
C-1“銀ちゃん”は、テスターカラーをまとった後継機C-2の試作初号機(08-1201)とのランデブーを実施して航空祭としては最後の編隊飛行を披露してくれました。
又F-15Jの方も背中一面から「モフモフベイパー」を発生させての機動飛行で暴れて見せてくれました。
もうこの2つを晴天で撮影出来たので「今日はもう帰ってもいい!」と思えるほどの充実度でした。
岐阜基地航空祭へ来たら、これ見ないと帰れません!(④の最後の文章と矛盾しますが、)岐阜基地航空祭名物の飛行開発実験団による異機種大編隊飛行
基地航空祭は、全国の各基地で開催されますが、各基地の所属部隊は2個飛行隊から多くて3飛行隊までです。
そうなると配備されている機材も多くても2機種程度までとなります。
でもここ岐阜基地では飛行開発実験団に航空自衛隊が運用するすべての機種が揃っていますので、異機種での大編隊飛行が見られて、今では岐阜基地航空祭の名物となり、毎年その異機種間の組み合わせまで含めて楽しみにされているファンの方も多くいらっしゃいます。
今年は、C-1輸送機が参加する最後の航空祭で披露される異機種大編隊飛行ですから自然に注目度も高くなっていました。
結果として今年の組み合わせは、画像の通りで、C-1とC-2の両国産戦術輸送機が編隊の中心に位置していたのが印象的でした。
大注目の外来機をお見送りして、進路反転、帰途に就く
基地上空に雲が発生してくる予報があったのか、午後に実施予定の大編隊飛行を午前の最後に実施するスケジュールの変更があり、各種試験飛行展示が午後に回されました。
バスの駐車場に戻って待機の為に、早めにシャトルバス乗り場へ移動してかかみがはら航空宇宙博物館へ戻りましたが、バス駐車場でも話題の中心は岩国から参加のUSMCAのF-18Cの帰投時刻で、岐阜基地の公式HPでも赤文字で帰投時刻が公表されたことから急遽バスの出発時刻を遅らせる他社ツアーもあったりと、結構な注目度になっていました。
それもそのはずでグレー1色のロービジ塗装機ではなく、2つの垂直尾翼に星条旗がカラーで描かれた「色付き」のF-18Cだったからでしょう。
離陸後に2回派手なローパス決めて岩国へ帰って行きました。
航空祭とは関係のない東海道新幹線「岐阜羽島駅」の不思議ネタ
東海道新幹線で、国鉄時代からも含めて在来線の接続のない駅は、わずかに2駅のみです。一つは静岡県の新富士駅でもう一つが岐阜県の岐阜羽島駅です。
新幹線以外に全く鉄道の接続がない新富士駅と違ってここ岐阜羽島駅は、JRのライバル名古屋鉄道羽島線の羽島駅がすぐ横にありますが、どうして岐阜駅ではなくて 岐阜羽島駅となったのかは、ひとえに東海道新幹線の開業を東京オリンピックに間に合わせる事と東京~新大阪の所要時間3時間を実現するための2点によります。
元祖「政治駅」との誤解もされる駅前の大野伴睦ご夫妻の銅像を写真に収めるのを忘れた事を新幹線の車中で後悔しつつ東京へと戻った添乗員でした。
岐阜基地航空祭2024 Data
実施日時
2024年11月17日(日)8:00~15:00
来場者数
約65,000人(岐阜基地公式X発表)
天候
晴/曇 最高気温:22.9℃(15:00)最低気温:15.2℃ 最大風速:4m
岐阜基地航空祭2024で撮影した航空機の写真
所属基地 | 機体 |
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撮影日:2024/11/17 ※クリックで画像拡大します |
所属基地 | 機体 |
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撮影日:2024/11/17 ※クリックで画像拡大します |
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撮影日:2024/11/17 ※クリックで画像拡大します |
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撮影日:2024/11/17 ※クリックで画像拡大します |
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撮影日:2024/11/17 ※クリックで画像拡大します |
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撮影日:2024/11/17 ※クリックで画像拡大します |
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撮影日:2024/11/17 ※クリックで画像拡大します |